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長いあいだピアノのメンテナンスを空けてしまったというお客様はたくさんいらっしゃいます。久しぶりのピアノのメンテナンスはどのようにおこなっていくのでしょうか?

2017/10/18 掲載
 
初回はとりあえず...


ピアノの調律は部屋のかたづけに似ています。
10年、20年と長年調律が空いてしまったピアノは、例えるならばものすごく散らかった部屋のようなものです。
 

 
それを片付けようと思った時、最終目標はキレイに整理整頓された部屋にすることです。しかし長年散らかった状態からいきなりキレイな状態にはできません。
 
長年期間が空いたピアノの初回の調律でまず必要なのは、部屋のかたづけで言うと散らかったものを、いるモノといらないモノや、種類ごとにわけるような作業です。
 
部屋に散乱しているものを「洋服」「食器」「文房具」「おもちゃ」などと書かれた大きな箱にとにかく分けて入れていくように、散乱した音をそれぞれ「ドの箱」「レの箱」にとりあえず放り込んでいくイメージです。
 

 
初回でできるのはここまで。
まずはとりあえず弾けるだけという状態で、音程は不正確で音色もそろってはいない状態ですがここからやっとスタートです。
 
 
半年後に2回目の調律


前回のかたづけでとりあえず生活できるようになりました。
次の段階では箱からそれらをあるべき場所へーーー洋服はクローゼットに、食器は食器棚に、文房具は引き出しに、とおさめていきます。
 
ピアノの調律でも、箱から出しいれしていた音を次は棚に並べていくような作業です。
 

 
箱の中にガサっと入れただけの前回よりは少し音がそろったと言える状態です。
ただ、並べただけなので狂い方にばらつきがあったり、不具合が出やすかったり、まだ快適には弾けない時期ですが少し我慢が必要です。
使っていくとまた散らかる→片付けるという段階をくりかえしだんだん音の場所が定まってきます。
 
片付いているうちに更に半年後


部屋のかたづけもこの段階になると、やっとムダなものがなく清潔でかたづいた暮らしやすい部屋になります。
前回までの「ある程度片付いた状態」から間を開けず調律をすることで、ピアノも各音が整理され、必要以上に置き場所からずれることもなくきっちりと並んだ状態になります。
 

 
この状態が毎年定期的な調律がされているピアノと同じ「安定した」と言える状態です。
 
安定してからも定期的な調律を


 

ピアノが安定した状態になったら、あとは定期的な調律でその状態をキープしていきます。
部屋もかたづけが完了してキレイになっても、どんなに気をつけていても必ず汚れていきます。でも今までのように一からかたづけなければいけないわけではありません。
定期的な調律は、日常的な部屋の掃除のようなものです。
  
さらに、清潔でかたづいた状態がキープできる部屋になったら、インテリアにこだわったりオシャレな配置にしたりできるようになるのと同じように、ピアノも音色やタッチの個性を出したり、より楽器的・音楽的なメンテナンスができるようになっていきます。
 
まとめ


長年調律が空いて不安定になったピアノを万全な本来の状態に戻すには年単位で時間がかかります。
調律の期間を空けないことはもちろんですが、もし空いて不安定になってしまったら、なるべく早めに“かたづけ”をはじめることをおすすめします。
 
 
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