2016/09/10


よく知られているピアノの調律の間隔は1年ごとですが、短い間隔で調律をしたほうが良い場合もあります

そもそもピアノの音が狂う原因は?

ピアノは弾く弾かないに関わらず時間が経つと必ず音が狂います。
理由は1本あたり70kg以上の強い力がかかっている弦の張られている力(張力が変わるからです。

張力が変わる原因はいろいろあります。
弦が叩かれたり、温度変化による弦の伸び縮み、弦が巻いてあるピンの緩み、時間経過や温湿度の変化によるピアノ本体の反りや縮みなどです。

前回の調律後から変わってしまった張力を元に戻す作業が “調律” です。

安定しているピアノと不安定なピアノ

ピアノの状態は、「安定している」状態と「不安定になっている」状態のふたつに分けられます。

状態が安定しているピアノは1年に一回の調律で張力をきちんと元に戻すことが出来ます。
1年分くらいの狂いですと、調律をすれば狂いは後を引きません。

一方、不安定なピアノというのは調律をしても取れきれなかった狂いが歪みとして残ってしまっている状態です。

安定しているピアノの張力の変化は狂っているで済みますが、不安定なピアノはそれを越えて歪んでいる状態と言えます。

歪んでいるピアノは安定しているピアノと比べると同じ期間での音の狂いが大きく、
土台がしっかりしていない状態ともいえますので、安定しているピアノと同じような繊細な範囲の調律ができません。
また、「狂いを直す→狂う→直す・・・」と張力の変化を繰り返すことはピアノに負担をかけ、ピアノの寿命を縮めてしまうことにもなります。

どんなピアノが歪んでいるのか

それでは、ピアノはどんな理由で歪んでしまうのでしょうか?
主に下記5つの条件をひとつでも満たしている場合は基本的にピアノが歪んで不安定になっています。


☑1.調律年数が数年以上空いてしまった
2.ピアノを移動した
3.置き場所の温度湿度変化が大きい
4.新品のピアノ(製造から3年くらいまで)
5.長時間演奏をする

1の条件はよくあるケースですし、1、2が合わさっていることも多々あります。
もちろん満たしている条件が多いほど不安定の度合いはより高くなります。
4もあまり知られていませんが作られたばかりのピアノは歪みが取れるまで3年くらいかかります。

このように、意外に簡単にピアノは歪んでしまいます。

歪んでしまったピアノはリハビリを

これからは歪まないように気をつけるとしても、すでに歪んでしまったピアノはどうしたらいいのでしょうか?

方法は・・・調律を繰り返すしかありません。
しかし、安定しているピアノと同じように1年に1回の調律では歪みはなかなか取れてくれません。
安定しているピアノを1年に1回調律しているのが “1歩下がって1歩進む” 状態だとすると、
不安定なピアノの場合は “2歩下がって1歩進む” 状態で歪みは大きくなる一方です。

その場合は、また狂い切る前に短い間隔での調律を数回行うことによってだんだんと歪みが取れていきます。
不安定なピアノもほとんどはリハビリとして半年ごとくらいの頻度で数回行うと安定した状態になります。

※置き場所の温湿度変化が大きい場合は加湿や除湿で環境を整えることも並行して行う必要があります。
また、長時間演奏される方の場合は常に狂いやすい状態となりますので、常に1年に1回よりも多い頻度での調律がおすすめです。


考え方はシンプルです

そのピアノが狂っているだけなのか、はたまた歪んでしまっているのか、見極めるのも調律師の役割です。
調律後、次回の調律時期をお伝えするのですが、基本的には安定しているピアノは1年後、不安定なピアノは半年後をおすすめしています。
安定してからは通常通り1年に1回の調律でその状態を維持していくこととなります。

そして、気をつけなければいけないのは一度安定してもまた条件を満たしてしまうと不安定な状態に戻ってしまうということです。

置き場所の環境(冷暖房器具や加湿、除湿器をどうするか)や調律の頻度などお客様に尋ねられることもよくあります。
ピアノを適切に管理していくのに方法は色々ありますが、

“ピアノを歪ませないためにはどうするか?”

シンプルにこのことを目標に選択してお伝えしています。



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